家系図の作り方ガイド
5. 自分で作る?業者に頼む?
率直にいうと、できれば専門家に頼んだ方がいいと思います。
当社も家系図作成を仕事としておりますので、もちろん依頼していただけた方がありがたいのですが、営業抜きで客観的に考えても、家系調査の知識がある専門家に頼んだ方が確実だと思います。
ただし、自分で戸籍をたどる楽しさもありますので、その点も含めてお話しします。
戸籍調査は難しいのか?
難しいと言えば難しいし、簡単と言えば簡単です。
その理由は、ご先祖様の足取りによって難易度が大きく変わるからです。
戸籍調査は基本的に次のような流れで進みます。
1、自分の戸籍を取得する
2、自分の戸籍から父の戸籍の本籍地を調べる
3、父の戸籍を請求する
4、父の戸籍から祖父の戸籍の本籍地を調べる
5、祖父の戸籍を請求する
この作業を繰り返していくことで、ご先祖様へとさかのぼっていきます。
戸籍調査が比較的簡単なケース
ご先祖様が何代も同じ土地に住んでいた場合は、1つの役所に請求するだけで、まとめて戸籍が取得できることがあります。
このようなケースでは、自分でも比較的スムーズに戸籍を集めることができます。
逆に、ご先祖様が各地を転々としている場合は、戸籍から次の請求先を読み取る作業が何度も発生します。
この作業が慣れていないと難しく、請求先を見落としてしまうこともあります。
自分で戸籍を取る楽しさ
ただし、自分でご先祖様の足跡をたどる作業は、とても感慨深いものです。
私自身、この仕事を始めようと思ったとき、まず自分の戸籍を取得しました。
古い戸籍を郵送で請求していたのですが、戸籍が届くのを毎日楽しみに待っていたことをよく覚えています。
知的好奇心が満たされる、とてもわくわくする体験でした。
自分で調査する場合の注意点
ただ、仕事として多くの戸籍を扱うようになってから、当時自分で取得した戸籍を見返してみると、取得漏れがかなりありました。
当時はいろいろな本を読んだり、役所に問い合わせたりしながら手探りで取得していたのですが、それでも見落としは起きてしまうものです。
広域交付制度の利用について
ご自身で家系図を作る場合、まず必要になるのが戸籍の取得です。
その最初の一歩として、最寄りの役所の窓口で次のように尋ねてみてください。
「広域交付制度を使って、直系先祖の戸籍をすべて取得したいのですが、どうすればいいですか」
この一言で、役所の対応は大きく2つに分かれます。
① まとめて請求を受けてくれるケース
「全先祖の戸籍となると時間がかかるので、○○日後に交付します」と案内される場合です。
この場合、交付まで1〜2か月ほど待つこともありますが、実はこれが最も理想的な対応です。
役所が最初からまとめて戸籍を調査してくれるため、結果的に手間が最も少なくなります。
② 一括請求ができないケース
役所によっては、一度にすべての戸籍の請求を受けてもらえない場合もあります。
その場合、次のような案内をされることがあります。
・まず請求者本人の戸籍だけ取得する
・その戸籍を見ながら、先祖の戸籍を順番に請求する
または、
・一度に請求できる人数に制限がある
・数人分ずつ順番に請求する
という対応になることもあります。
この場合は、広域交付制度ができる前の方法と実務的には大きく変わりません。
以前は遠方の役所に郵送で請求していたものが、現在は最寄りの役所に何度か通う形になる、という違いです。
役所ごとに運用が違う
広域交付制度の運用は、実際のところ自治体ごとに対応が異なります。
「家系図作成 広域交付制度」などで検索すると方針を公開している自治体もありますが、すべてではありません。
結局のところ、実際に窓口で確認するのが一番確実です。
役所の案内の例
ある自治体では、次のように案内されています。
「家系図作成を目的とした戸籍請求は複数世代にわたるため、交付まで長い時間を要します。受付のみ行い、交付は1か月程度かかる場合があります。お急ぎの方は本籍地へ請求してください。」
また、
「先祖の氏名と本籍を特定したうえで請求してください」
という説明が付く場合もあります。
これは、まず本人の戸籍を取得し、そこから一世代ずつさかのぼる方法を前提としているためです。
戸籍取得は早めに始める
戸籍の取得は、できるだけ早く始めることをおすすめします。
古い戸籍には保管期限があり、閲覧や取得をめぐる条件も年々厳しくなっています。
まずは最寄りの役所で相談してみてください。
もし「まとめて請求を受けてくれる対応」に当たれば、それはとても幸運なケースと言えるでしょう。
重要な注意点 役所の手違いも意外と多い
ただし、役所が発行してくれた戸籍をそのまま信用してはいけません。
役所の職員の方も人間ですので、残念ながら戸籍の見落としや取得漏れが起こることがあります。
実際、私の経験では10名の依頼を受けると、3~4名分は何らかの理由で必要な戸籍が最初の請求では送られてこないことがあります。
特に多いのは、戸籍法改正時の原戸籍の見落としや、養子・婚姻などで別の戸籍に入っていた期間の戸籍の見落としです。

戸籍は隅々まで読み取らないと、まだ取得できる戸籍があることに気づかない場合もあります。
そのため、取得した戸籍は必ずご自身でも内容を確認するようにしてください。
戸籍を全部取らないと分からないこともある
取得漏れがあると、本来判明するはずのご先祖様や親族が分からないまま調査が終わってしまうことがあります。
実際に、追加で原戸籍を取得したことで、今まで知られていなかった兄弟姉妹が判明したケースもありました。
戸籍をすべて取得しないと分からない事実が出てくることもあるのです。
戸籍と家族の記憶が違うこともある
また、戸籍の記録と親族から聞いていた話が食い違うこともあります。
昔は役所への届出が今より大雑把だったこともあり、出生年などが実際と違うことも珍しくありません。
また、再婚や養子など、これまで聞いたことがなかった事実が戸籍から判明することもあります。
そのため、家系調査を行う際は、ご家族ともよく相談して進めることをおすすめしています。
結論
以上の理由から、客観的に考えると、できれば専門家に依頼した方が確実だと思います。
ただし、自分でご先祖様をたどる作業は本当に楽しいものです。
ですので、
・確実に戸籍を集めたい場合は専門家に依頼する
・時間をかけて楽しみながら調査したい場合は自分で挑戦してみる
このように目的に合わせて選ぶのが良いと思います。
業者の選び方
戸籍調査の場合
「とにかく戸籍を集めたい」という場合は、戸籍収集だけを依頼する方法もあります。
戸籍の取得は法律で範囲が決まっているため、どの業者に依頼しても最終的に取得できる戸籍の量は基本的には同じです。
ただし、取得漏れの有無や調査の丁寧さには差がありますので、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
また、
・戸籍より古い時代の調査をしたい
・巻物の家系図を作りたい
など目的がはっきりしている場合は、それを得意としている業者を選ぶと良いでしょう。
筆耕の場合
家系図の筆耕を専門にしているところは多くありません。
家系図作成業者のほか、書道家の先生や代筆業者などに相談してみる方法もあります。
実物の見本や写真を見せてもらい、仕上がりを確認してから依頼することをおすすめします。
表装の場合
表装については、インターネットやタウンページで多くの表装店が見つかります。
可能であれば近くのお店に相談し、機械表装と本表装の違いなどを詳しく聞いて検討すると良いでしょう。
おまけ
古い戸籍の文字は非常に読みにくいことがあります。
達筆だったり、字が潰れていたり、個性的な書き方だったりします。
慣れると読めるようになりますが、どうしても読めない文字は書道辞典などで調べることもあります。



