家系図の作り方ガイド
6. 筆耕|家系図を筆で書く
家系図を毛筆で仕上げる「筆耕」についてご説明します。
筆耕で家系図を作成する場合、紙の大きさには限りがあります。そのため、まず最初に「どこまでを記載するか」という範囲を決める必要があります。
完成までの流れ
筆耕による家系図制作は、基本的に次の流れで進みます。
- 1、記載範囲を決める(人物の範囲・生年没年などの情報の範囲)
- 2、下書き見本の作成(できればパソコンで作成)
- 3、毛筆による筆耕
- 4、桐箱への名入れ
基本的に家系図の書き方は自由ですが、ここでは当社の筆耕を例にご説明します。
1 記載範囲について
まず最初に決めるのが、家系図に記載する範囲です。
ここでは父方一系統の家系図を例にします。
記載範囲には、大きく次の二つがあります。
- 人物の記載範囲
- 人物の情報の記載範囲
人物の記載範囲
基本的には、直系とその兄弟姉妹を記載すると、バランスの良い家系図になります。

人物情報の記載範囲
戸籍から読み取れる情報には、生年没年・本籍地・婚姻年月日など様々なものがあります。
しかし、情報を多く書きすぎると文字だらけになり、全体のバランスが崩れてしまいます。
基本的には、人物名の下または横に「生年没年」を記載する程度が最も美しい仕上がりになります。
生年没年を入れることで、ご先祖様がどの時代に生きた人物なのかが分かり、見た目にも非常に整った家系図になります。
また、判明している場合は戒名を記載することもあります。
その他に特別な情報を残したい場合は、1〜3行程度の注釈を入れるのも良い方法です。

2 下書き見本の作成
筆で書く前に、必ず下書きの見本を作成します。
当社ではExcelを使用して作成しています。




この工程で最も重要なのは「全体のバランス」です。
- 上下左右の余白
- 人物名・生年没年・タイトルの文字サイズ
- 人物同士の間隔
この段階で、家系図の完成度の大部分が決まります。
特に二系統を同時に記載する場合は、非常に難しい作業になります。


それぞれの家系図の人数や系線の複雑さを考慮しながら、全体を美しく配置する必要があります。
実は、この下書き作業が最も難しい工程です。
最初に書いた家系図
こちらは当社が最初に作成した家系図です。

人物の配置は悪くありませんが、余白が大きく、全体として間延びした印象があります。
当初は生年没年も記載していなかったため、空白が大きくなってしまいました。
そこで後から生年没年を追加しました。

多少改善されましたが、最初から生年没年を想定して配置していなかったため、完全には満足できる仕上がりにはなりませんでした。
現在の家系図
こちらが現在の家系図です。

以前の作品と比べると、全体が引き締まっているのがお分かりいただけると思います。
それでも改善は続けています。
例えば、ここはまだ余白がやや大きい部分です。

半切(横135cm×縦35cm)の紙を使用していますが、縦幅を数センチ短くすることで、さらに引き締まった仕上がりになります。
また、現在では系線(人物同士を結ぶ線)は赤で書いています。

古来の系図では、血を表す赤色で系線を書くのが伝統です。
3 毛筆による筆耕
下書きに沿って、文字と系線を毛筆で書いていきます。

この作業は非常に緊張します。
一文字間違えるだけで、すべてが台無しになってしまうためです。
慎重に進める必要がありますが、時間をかけすぎてもいけません。
時間が経つと墨の水分が蒸発し、書き始めよりも墨が濃くなってしまうためです。
できる限り同じ条件で一日で書き上げるのが理想です。
筆耕と天候
筆耕は天候の影響も受けます。
猛暑の年には、気温と湿度が高すぎて墨が散ってしまい、3か月間筆耕ができなかったこともありました。
ドライヤーを使ったり墨を冷やしたりと試しましたが、満足のいく仕上がりにならず作業を停止しました。
保存について
完成した家系図は湿気を避けて保存する必要があります。
作業場所と保存場所を分けるなど、できるだけ湿気の少ない環境で保管します。
系線の書き方
人物同士をつなぐ系線を書くのも非常に難しい作業です。
筆で完全にまっすぐな線を書くのは簡単ではありません。
試行錯誤の末、現在では非常に美しい系線を書く方法を確立しています。

書道家の方に見ていただくと、「マジックペンではないのか」と驚かれることもあります。
方法は企業秘密ですが、ご自身で筆耕したい方にはお伝えしています。
紙・墨・筆について
紙
当社では中国製の画仙紙を使用しています。
和紙よりも滲みが少なく、小さな文字を書く家系図に適しているためです。
薄手の画仙紙は、表装した際の仕上がりも柔らかくなります。
墨
墨には様々な種類がありますが、家系図には滲みが少なくはっきりした濃い黒墨を使用します。
筆
筆は一本で数万円以上するものもあります。
生年没年などの小さな文字は、細い筆の穂先を使って書きます。
非常に繊細な作業です。
4 桐箱への名入れ
完成した家系図は桐箱に収め、「○○家家系図」と名入れを行います。
この作業も失敗が許されない非常に緊張する工程です。

桐箱に文字があるのとないのでは、印象が大きく変わります。
そのため現在では、多くのお客様に喜ばれています。
木目に墨が滲まないよう、表面を軽くヤスリ掛けしてから筆耕します。

それでも木材に書く以上、多少の滲みは生じます。

恐れ入りますが、この点はご理解いただければ幸いです。
筆耕した家系図は一生の宝です
現在では、あえてわずかな掠れを残し、筆書きならではの味わいを出す工夫も行っています。
特に系線は美しく書きすぎると機械的に見えることもあるため、手仕事の温かみを大切にしています。
使用する画仙紙も、あえて少し掠れが出るものを選んでいます。
家系図を美しく残したい方へ
筆耕した家系図は、巻物・掛軸・折本・額装など、 さまざまな形で残すことができます。
※家系図を「家宝」として残す形をご案内しています
家系図を家宝として残す文化について
なぜ巻物や掛軸という形で家系図を残すのか、 その意味や魅力についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
※形として残すことの価値を知りたい方におすすめです
掠れの例



好みにもよりますが、下へ行くほど芸術作品としての味わいが深くなります。
せっかく筆耕するのですから、人の手でしか表現できない美しさと温もりを大切にしながら、これからも改良を続けていきたいと思います。
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