2019年2月26日現在工事中です。画像がまだ入れれていません(><

ポイント6 筆耕について詳しく

では、筆耕について筆耕する場合は、記載範囲が物理的に制限されるので、まずは記載範囲を決めます。

■完成までの流れ

1、記載範囲を決める※人物の記載範囲※生年没年などの情報の記載範囲

2、下書き見本の作成(できればパソコンで作成)

3、毛筆で筆耕

4、桐箱への名入れ

基本的に家系図をどう書くかはご自由なのですが、ウチの筆耕を例にお話します。

【1、記載範囲について】

まずは記載範囲を決めます。

父方一系統の筆耕を例にします。

記載範囲には2種類あり

・一つは人物の記載範囲

・もう一つは、人物の情報の記載範囲

です。

人物の記載範囲基本的には、直系とその兄弟姉妹を書くとバランスがいい家系図ができます。

人物の情報の記載範囲次に、記載される人物の情報についてです。

戸籍から読み取れる情報には、生年没年・本籍地・婚姻年月日などなどがありますが、あまりに多くの情報を記載すると、お経のように文字だらけになってしまい見た目のバランスが悪くなってしまいます。

基本的には人物の下か横に生年没年を記載するにとどめるのがいいと思います。

生年没年を入れると、ご先祖様がどの時代に生きたのかがわかり、また、見た目にも非常に美しくなります。

また、その他に判明していれば戒名。

特段記載したい情報があれば1~3行程度の注釈を入れるのもいいと思います。

【2、下書き見本の作成について】

筆で書く前に見本を作成します。

ウチではエクセルで作成しています。

ここで重要なのは、バランスです。

・上下左右の余白(表装時に調整も可)

・人物及び生年没年・タイトル(○○家系図)の文字の大きさ

・人物の間隔

この時点で仕上がりの美しさが決まります。

特に二系統を筆耕する場合は、バランスが大変難しいです。

それぞれの家系図の記載人数の多さ、系線の複雑さに応じて、バランスよく仕上げなければなりません。

実はこの下書き作業が最も難しいです。

ウチでも最初は上手くいきませんでした。

一番最初に書いた家系図です(注)系線が歪んで見えるのは写真を撮るのが下手なためです。

人物間のバランスは良いのですが、余白や文字が大きすぎ、全体的に間延びした感じです。

当初は、生年没年も記載していなかったのですが、そのため空白が大きすぎ、こちらも間延びした印象の一因となっています。

最初に書いた家系図に、後から生年没年を入れたものです

空白が埋まり、間延びした感はやや薄れたのですが、最初から生年没年を入れることを想定したバランスで下書きしていなかったので、満足いく出来とはなりませんでした。

何十枚と依頼をこなした上での現在の家系図です

感覚的なものなので上手くはいえないのですが、先の作品に比べるとグッと引き締まっています。

相当いい出来なのですが、まだまだ改善しています。

例えば、ここの余白が少々大きいです。

横135cm×縦35cmの半切の紙をそのまま使っているのですが、縦の35cmを、数センチ短くして、巻物自体の縦の長さを小さめに表 装すれば、縦の余白が少なくなり、もっと引き締まり美しくなるはずです。

また、当初は黒で書いていた系線(系図の人と人をつなぐ線)も今では赤で書いています。

※古来からの系図は系線が血を表す赤で書かれています。

【3、毛筆での筆耕について】

次に下書きに沿って文字と系線を入れます。

これは恐ろしい作業です。

一文字間違っただけで台無しですから。

ゆっくり確実に神経をすり減らしながら行うのですが、あまり時間をかけてもいけません。

時間を置くと、墨の水分が蒸発してしまい。書き始めよりも段々濃くなっていってしまうのです。

時間のかかる作業なのですが、なるべくなら一日で、短時間で終わらせてしまいたいところです。

と、言うのは天候によって墨のチリ具合が替わってしまうため、同じ条件で書き上げるのがベストだからです。

※筆耕と天候。

例年に無い猛暑の年。

3ヶ月間筆耕ができませんでした。

気温と湿度の高さで、墨が散ってしまうのです。

ドライヤーをかけながら書いたり冷蔵庫で墨を冷やしてみたりいろいろしてみたのですが、どうしても満足いくものができず作業をストップしました。

※保存について。

保存についても最大限気をつけなければなりません。

筆耕作業をする場所と保存場所を変えるなどして、少しでも湿気のないところに保存します。

余計な水分を吸うのを防ぐためです。

系線の書き方

これには苦労しました。

他の業者さんはどうやって書いてるのでしょう?

まっすぐな線を書くのは、筆では不可能だし、竹べらなんかを使っても途中で掠れて、長い線は掛けません。

苦労して解決しましたが、苦労した甲斐あって現在では大変美しい系線が書けるようになりました。

お付き合いのある書道店の店主さんなど、書道の心得のある人に見てもらうと、「これマジック(のペン)じゃないよね?どやって書いたの?」とびっくりされます。

一応企業秘密なのですが、ご自分で筆耕されたい方にはこっそりお教えします。

ご参考にしたい方はご連絡下さい。

※紙、墨、筆について

紙…ウチでは中国製の画仙紙を使用しています。

家系図を表装までするとなれば、日本の和紙を使うイメージが強いのですが、実は中国製の画仙紙の方が、和紙よりも滲みが少なく、小さな文字を書く家系図に向いています。

中国製の画仙紙の中でも、高品質で滲みが少なく薄手のものを選んでいます。

和紙よりも薄いので、表装したときの仕上がりも柔らかで良いものができます。

最近では、さらに芸術性を高めるため、ほんの少し掠れが出る紙を選んでいます。

墨…書道の墨には濃い黒や薄い黒の他に、青く滲む青墨など様々です。

家系図を書くには、滲みが少なくはっきりとした濃い黒墨を使用するのがいいです。

筆…良いものは一本でウン万円、ウン十万円します。

文字の大きさに合わせて使用する筆を決めるのですが、特に生年没年などの小さな字を書くには、細い筆の先っちょを使って書きます。

大変難しい職人芸です。

【4、桐箱への名入れ】

桐箱に「○○家家系図」と筆耕します。

筆耕に関する作業はどれも全て間違えが許されない恐ろしい作業なのですが、中でもこれが一番恐ろしいです。

当初は、このサービスは失敗すれば桐箱が駄目になってしまうリスクの高い作業なので、行っていませんでした。

ですが、お客様から「ここ(桐箱)に字は入らないのかい?」、とご希望されることが多く、思い切って取り入れてみました。

やはり、桐箱に文字が在るのと無いのでは、印象が全く違います。

お客様にも大変喜んでいただいております。

そのまま筆耕すると木目の溝に墨が滲んでしまうので、表面をうすーくヤスリ掛けして、まったいらにしてから筆耕します。

それでも、ほんの僅かなのですが、木目への滲みは出てしまいます。

これは、木に墨で書く以上避けられないので、申し訳ありませんがウチへ筆耕をご依頼の際はご理解下さい。

【筆耕した家系図は一生の宝です。まだまだ頑張ります!】

また、現在では若干の掠れを出してより筆書きならではの味わい深さを出そうと心がけています。

特に系線は美しく書け過ぎて機械的にすら見えがちです。

ほんの少しの掠れを出して人の手で仕上げた温もりを出すよう改善中です。

使用する画仙紙もあえて掠れの出やすいものを選んでいます。

※掠れについて

例えば下記作品。

好みにもよりますが、下へ行くほどより芸術作品としての味わい深さが出ています。

…といっても、私もたいして見る目がないので、受け売りで言ってるのですが。見る人が見ればわかるようです。

せっかく筆耕するのですから、人の手でしか出せない芸術作品としての美しさ・味わい深さを高めていくよう努力しております。