『千年たどる家系図物語(ヒストリエ)』④ 第三章~第五章:武士の家系を文献や古文書で1000年以上さかのぼるパート

【動画で解説】『千年たどる家系図物語(ヒストリエ)』-目次‐
① 概要
② 登場人物
③ 序章~第二章:家系調査の方法を解説的に描くパート
④ 第三章~第五章:武士の家系を文献や古文書で1000年以上さかのぼるパート←このページはコチラになります
⑤ 第六章~第11章:農家の家系を地道に調査するパート
⑥ 第十二章~最終章
⑦ 著者メッセージ・制作背景
⑧ イラスト・漫画パート紹介
⑨ 読者レビュー・メディア掲載情報
⑩ 購入・予約案内・試し読みリンク
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2025年7月末に発売された『千年たどる家系図物語(ヒストリエ)』について、少し詳しくご紹介します。

■本の構成は大きく3つ

この本は物語形式ですが、家系調査の方法を実際の手順に沿って描いています。大きく分けると以下の3パートです。

1. 家系調査の方法を物語で解説するパート
2. 武士の家系を調査する方法
3. 庶民(農家など)の家系を調査する方法

今回ご紹介するのは「第3章〜第5章」で、②の「武士の家系を調査する方法」を物語として解説している部分です。

■物語の舞台設定

舞台は北海道札幌市。
近所に住む女の子「源静香さん」が「家系図を作りたい」と相談に来るところから物語が始まります。

実際に僕が講演会などで話している調査のやり方を、そのまま会話形式の小説として描いています。

■まずは戸籍で150〜200年前へ

調査の入口は現代から江戸末期(約150〜200年前)までの戸籍です。

・明治19年式戸籍を役所で取得
江戸末期生まれの先祖まで記載されている場合も
・おおよそ4〜5代前まで遡れる

物語でも、静香さんが母方の戸籍を札幌から請求し、江戸末期の宮城県までたどり着くシーンから始まります。

■江戸時代の調査方法

戸籍で江戸末期まで辿ったあとは、次のステップです。

武士だった場合
→ 所属藩を特定し、藩の名簿や記録、家系図を探す。

庶民(農家など)の場合
→ 菩提寺を調べ、檀家記録や過去帳を確認する。

作中では母方の旧姓「遊馬野家」が宮城県亘理藩に属する武士だったことがわかります。
戸籍に出てきた「直房/直吉」という名前と、本籍地が武家地であったことが手がかりでした。

■武士の家系をさらにたどる

宮城県の文書館で調べると、「分限帳」という武士の名簿に記載があり、武士であることが確定。石高や役職(勘定方)も判明しました。

さらに藩に提出された家系図が残っており、400年前まで遡ることに成功します。
物語ではその後、郷土資料『琴似町誌』を使って北海道開拓への移住経緯や、先祖の写真まで見つかる展開になっています。

■さらに1000年以上前へ

江戸時代より前は、調査の方法が変わります。

苗字の由来や分布を手がかりにする
・中世〜古代の系譜資料を調べる

作中では『宮城県姓氏家系大辞典』や『姓氏家系大辞典』など実在の資料を用い、さらに三浦氏につながり、最終的には40代前の桓武天皇まで遡るというストーリーを描いています。

もちろん1代も漏らさずに天皇系に直結することは稀ですが、部分的に空白があっても大まかな流れを把握できることはあります。

■フィクションだけどリアルな調査

第5章までで紹介している流れは、

・戸籍で150〜200年前までたどる
武士であれば藩の記録を探す
・さらに苗字や文献から古代へとつなげていく

という実際の家系調査そのものです。
フィクション形式ですが、調査手順は現実に即しています。

■6章以降の展開

武士の家系は全体のわずか3〜5%程度。大半は農民でした。
物語でも、主人公の父方は岩手県の農家で、第6章以降は「農家の家系をどう辿るか」がテーマになります。

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『千年たどる家系図物語(ヒストリエ)』 序章 源静香と千年の家系図

書籍「千年たどる家系図物語(ヒストリエ)」

価格:
1,980円(税込)単行本 – 2025/7/29

「あなたの家系図、千年前まで遡れるかもしれません」

古い文書を読み、先祖の墓を探し、足跡をたどって、家系図作りをするのが僕の仕事。

そんな僕のところに、かの有名なアニメに出てくる女の子と同姓同名(源静香)の女子大生が家系調査の依頼をしてきた。

父を亡くしたばかりの静香に、僕はそっと「自分で調べてみませんか?」と声をかけた。 遺された金属片、謎の掛軸、消えゆく神社──静香と僕がたどる千年の家系物語。

これは、過去を知る旅であり、同時に、静香が自分自身と向き合う旅だった。

そして僕にとっても、家系図作成という仕事の意味を改めて考える、大きな転機となる出来事になったのだ。

──読むほどに、あなたの家族が愛おしくなる。