こんにちわ。

家系図作成代行センター(株)渡辺宗貴です。

「宗貴」は、「むねたか」と読みます。

ちょっと恥ずかしいので、取り急ぎ姉のおさがりを着せられた3歳くらいの頃の写真で失礼します。

今このページを読んでくださっている皆様は「家系図」って聞いてなにをイメージされますか?

「親父が作ってる」
「親戚が作って配ってた」
「持ってる」
「長男じゃないから別に」
「欲しい」
「ちょっと興味ある」
「???」

「家系図を作る仕事やってるんだ」って友人知人に言うと、結構興味を持ってくる人が多いです。

あまり身近なものでないことが多いので、とりあえずどんなもんか知りたがられます。

「こんなの作ってるんだ。かっこいいでしょ?」って実物の巻物家系図を見せると

「かっこいい!」
「ほしい!」
「どやってつくるの?」
「すっげー!」
「自分でも作れるの?」
「お前に頼んだらいくらかかるの?」
「何代くらい前までわかるの?」

いろいろ質問を受けます。

長々と7章までありありますがお伝えしたいことは2つ、

「家系図ってなに?」
「どんな家系図ができるの?」

ということと、

「作るべきか?」
「もし作るなら自分で作るべきか?」
「業者に頼むべきか?」

と、いうことです。

さらに言えばホントにお伝えしたいのは一つだけ。

戸籍には保管期限があり家系図は今しか作れません。

ということです。

ウチは家系図作成業者です。 ご依頼いただければ儲かります…

が、ここでは可能な限り客観的に正直に記載いたします。

例えば「戸籍調査(戸籍による家系図の作成)」

・ウチのような業者に頼まなくとも自分でもできます。

・ウチより安いところもあります。

例えば「巻物・掛軸への表装(ひょうそう、要は仕立て)」

・ウチより美しい筆耕(ひっこう、要は墨での筆書き)ができるところはありません。

・ウチほど表装ににこだわっているところはありません。

「家系図作成業務」という商品は、コンビニやスーパーに売っている商品ではないので、一般の相場が大変わかりにくい商品です。

ここでお伝えすることが、

「家系図を作るかどうか?」
「作るなら自分で作るべきか?業者に頼むべきか?」

と、いう判断基準の一助となれば幸いです。

第1章 家系図って何だ?

さて、「家系図ってなに?」ということです。

もう既に家系図を作られている方、元より家系図をお持ちの方もいらっしゃると思います。

そうではない方、今まで家系図を目にする機会のなかった方もいらっしゃると思います。

私もこの仕事を始めるまでは家系図を目にする機会がありませんでした。

既に家系図をお持ちの方に、家系図を巻物や掛軸に仕立てるご依頼を受けることも多いのですが、代々伝わる家系図をお持ちの方がうらやましいです。

私の家には家系図というものが残されておらず、家系調査は戸籍に頼るしかありませんでした。

自分の家系図を作ってみるとさらに興味が沸いてくるものです。

「ご先祖様が残してくれてればよかったのにな」とも思ってしまいます。

特に北海道では、明治時代あたりに本州から移住してきたケースが多く、本州に比べて家系図の残されている家が大変少ないようです。

これは人の移動が多い東京などの都心部にも当てはまります。

家系図の形式に決まりはない

家系図には「こうでなくてはならない!」というような決まった形はありませんので、直感的にイメージしていただければいいと思います。

ちょっと画像を多く使いましょうか。

はい。

横系図
横系図

これが最も一般的な家系図です。

自分の父親の父親…すなわち名字をたどっていった家系図です。

■縦系図と横系図

横向きなのが横系図、縦向きなのが縦系図といいます。

巻物や掛軸に表装する場合はそれに応じて横か縦に表記しますが、どちらを使ってもかまいません。

縦系図
【表装(ひょうそう)までする場合は横系図が主流】

横系図の巻物にすることのほうが多いです。

巻物は長さに制限が無く、子孫の代まで書き足していけます。

代々の保存まで考えた場合、横系図の巻物が用いられることが多かったようです。

【掛軸に表装するため、便宜上作られたのが縦系図。見やすい。】

元来、家系図といえば横系図の方が一般的ですが、掛軸に表装するために便宜上作られたのが縦系図です。

横系図よりも親族の相関関係が一目でわかりやすいというメリットもあります。

見やすさでは掛軸にかなわないのですが、巻物を開いていくワクワク感も捨てがたいです。

【巻物にするべきか掛軸にするべきか】

実際には、巻物にする方が7割以上です。

昔から家系図といえば巻物というイメージが強いのでしょうか?

また、掛軸を飾るような和室が少ないという事情もあるかと思います。

用途・目的によってお好みで

巻物・掛軸の本来の用途ですが、

巻物…保存が主な用途。本紙(家系図などの作品)が空気に触れにくく、傷みにくい作り。

また、仕立て直しをすれば紙を継ぎ足していくことができる。

掛軸…装飾が主な用途。作品を補強し、飾って楽しむことが目的。

どちらにするかは目的や好みで決めていいと思います。

「名前を知らないご先祖様に手を合わせるのが味気ないんだ」と、おっしゃってご依頼いただいた方は、巻物にしていつも仏壇の横に置いているそうです。

「親戚一同が集まる日に飾りたい」と、掛軸にする方もいらっしゃいます。

あえてアドバイスをするとすれば、普段は保管しておいて気が向いたときにちょくちょく見たいのであれば巻物の方が便利です。

掛軸をちょくちょく広げるのは結構大変ですから。

また、和室など掛軸を飾るスペースがある場合や、親族が集まる日に飾りたいという場合は、掛軸にするといいと思います。

私は巻物も掛軸も両方持っているのですが、猫を飼っているため残念ながら自宅には掛軸を飾っておくことができません。

本当は、居間か廊下に飾っておいて毎日眺めたいのですが。

時々気が向いたときに巻物を開いて眺めたり、友人が来たときに見せびらかしたりしております。

※巻物をさらに便利にした折本(おりほん)、または折り帖(おりちょう)という表具方法もあります。

巻物の良さである、 保存に向いた作りでありながら、パタパタと見開きで見ていけます。    

巻物は保管しておいて、普段は折本を見るという使い方が便利です。

※冊子製本という方法も 

系図だけではなく、家族の歴史を文章にしたり、住んでいた土地の歴史を調べてまとめたりし、冊子にして複数冊を親族間で共有するのもいいと思います。

もちろん家族写真なども入れたいですね。

■家系図の表記方法の基本的なルール

「こうでなければならない!」という決まりはありませんが、最低限だけ。

・夫婦は右に男性、左に女性 

※夫婦を「妻=夫」というように横二重線でつなぐ書き方もあります。

横二重線は昭和以降に生まれた近年の表記方法です。

・養子縁組は二重線でつなぐ

・その他、複雑になる部分は見やすいようにケースバイケースで

例:後妻がいる場合

例:前妻・後妻それぞれに子供がいる場合

例:婿養子の場合

【人物の記載範囲について】

さて、ご自分から見てどういう続柄にあたる方を記載するかについてですが、こちらについても特に決まりはありません。

家系に関わる人物には、自分、子供、孫、父母、祖父祖母…(いわゆる直系尊属および卑属)の他に、ご自分の兄弟姉妹、兄弟姉妹の子供(甥・姪)、父母の兄弟姉妹(おじ・おば)、父母の兄弟姉妹の子供(いとこ)…などなど様々です。

直系とその兄弟姉妹を記載するのが一般的

すべてを二次元の紙に書くのは物理的に限界があるので、直系に当たる方とその兄弟姉妹を記載するのが一般的です。 ※赤字の人物が直系に当たります。

【直系尊属および卑属とは?】

「直系」とか「尊属(そんぞく)」「卑属(ひぞく)」という言葉が出てきましたので。

皆さんには父母がいます

父母には父母がいます。

配偶者(奥さんまたは夫)とお子様お孫様もいるかもしれません。

・ご自分からみて親子関係の続く上の代の方が直系尊属です。

・ご自分からみて親子関係の続く下の代の方が直系卑属です。

【傍系とは?】

上記が直系に当たる方々ですが、対して直系に当たらない親族を「傍系(ぼうけい)」といいます。

ご自分の兄弟姉妹、兄弟姉妹の子供(甥・姪)、父母の兄弟姉妹(おじ・おば)、父母の兄弟姉妹の子供(いとこ)…などなどです。

※例えば父母の兄弟姉妹である「おじ・おば」ですが、厳密には同じ読み方でも父母の兄は「伯父」姉は「伯母」、父母の弟は「叔父」妹は「叔母」と書くなど様々です。

「いとこ」にも「従弟」「従兄弟」「従妹」「従姉妹」「従兄」「従姉」「従兄妹」…などいろいろあります。

ちょっとややこしい「直系」「傍系」の話。

最低限これだけ抑えればOK

詳しくは後述しますが、戸籍による家系調査を行う場合には、除籍簿の取得範囲が法律で定められていますので、直系とか傍系の知識が多少必要ですが、

「ご自分からみて親子関係が続くのが直系尊属および卑属で、それ以外の親族が傍系」

と、いうことだけ、知っていただければOKです。

■調査範囲・記載範囲の決め方

前述の通り、家系図には決まった形はありませんので、調査範囲も好きなように設定していいと思います。

※ですが、戸籍だけはすべて取得しておかないと、いつか後悔してしまいますので全ての系統の戸籍を取ることをお勧めします。

家系図を紙に書く場合は、複数の系統(※1)や家系に関わる膨大な人数(※2)の全てを記載するのは物理的に困難なので、ある程度調査範囲や記載する人物の範囲を決める必要があります。

(※1)複数の系統とは?

ご自分に関わる直系の家系は際限なく広がります。

まずは父母で2人、父母の父母で4人、父母の父母の父母で8人…と無限に広がります。

これを28代続けると1億人を越えてしまいます。 こう考えると「人類みな兄弟」というのはあながち荒唐無稽な話ではないんだな~と思います。

(※2)家系に関わる膨大な人数とは?

上記の複数の系統を傍系まで含めて考えてみます。

例えば自分の兄弟姉妹だけ見ても、兄弟姉妹とその配偶者と子供、さらに配偶者の両親や兄弟姉妹や子供の配偶者やその子供や両親や…とキリがありません。

こう考えると「人類みな兄弟」というのはますます荒唐無稽な話ではないんだな~と思います。

【系図の作成】

見やすい縦系図がおすすめです。

大きな方眼紙に書いてもいいですし、パソコンソフトで家系図を作成してプリントアウトしてもいいですし、また、マスに名前を埋めていくタイプの家系台帳のようなものも市販されているようです。

人名を大きめに書き、「続柄」「生没年」は必ず。その他、判明していれば「戒名」も入れます。1~3行でその他「相続」等の情報や、なにか「事績」を入れるのもいいと思います。


筆者父方渡辺家・父方祖母長崎家・母方葛西家・母方祖母田中家を系図化。

<右拡大>

<左拡大>
【おまけ、毛筆で筆耕し巻物や掛軸に!】

毛筆で筆耕し、巻物や掛軸に表装する場合を前提にお話します。

一家系(一苗字)の直系とその兄弟姉妹を記載するのが基本 毛筆で筆耕する場合に使う紙は、これも特に決まりは無いので自由なのですが書道用紙の規格で言う「半切(はんせつ)」という紙のサイズが主です。

半切サイズとは35cm×135cmの大きさで、巻物にするか掛軸にするかによって紙を横向きあるいは縦向きにして使います。

半切の紙に家系図を書く場合は、たいていはご自分の苗字をたどる父方一系統の調査結果で、人物の記載範囲は直系に当たる方とその兄弟姉妹です。

僕の場合は、父方渡辺家です。

 

工夫すれば二家系までなら美しく収まる

毛筆で筆耕する場合は複数家系の調査結果や、全ての傍系を記載するのは物理的にほとんど不可能です。

ですが、最大限バランスや文字の大きさを工夫すれば、二家系まででしたら半切の紙に美しく収まります。    

僕の場合は、父方渡辺家と母方葛西家です。  

あるいは、僕の父方渡辺家と、妻の父方(奥さんの旧姓)玉置家という選び方もあります。

縦系図にする場合も、全紙(半切の紙の倍の大きさ)を使えば二家系まで美しく収まります。