表装に付いて詳しく

■本表装(手表装)と機械表装

表装には大きく分けて、本表装と機械表装があります。

簡単に言うと

本表装 …昔ながらの、職人(表具師)の手による手作りでの表装。

機械表装…のりを使わない最新の技術を使った機械での表装。

【で?どっちがいいの?】

それでは、機械表装と本表装を比べていきますが、その前に機械表装を利用する表装店の店主さんのお話

「ウチは庶民のための掛軸(巻物)屋さんなんだ。

見た目には変わらないし、充分に品質は良いから、わざわざ本表装にしてお金をかけなくても、手ごろな価格で楽しんでもらいたい。

ウチも本表装はできるよ。

でも今はね、機械表装の技術が大変進歩して、昔よりも気軽に掛軸が楽しめるようになっているんだ。

私は、『そんなにお金をかけなくても良いから、気軽に楽しんで欲しい』と、なるべく安く仕上げられるものをお勧めしているよ。」

本表装をしてくれる表具屋の店主(表具師)さんのお話

「例えばね、家を新築した若い人が床の間に、掛軸でも飾ろうかとうちに来る。

そうすると相場を知らない人は、ウチの掛軸の値段を聞いてびっくりするんだ。

最低でも5~6万円から、何十万まであるからね。

材料によっては100万円を越えるよ。

そういう時は、デパートに行けば1万2万で掛軸が売ってるから、そういうのにすると良いよって勧めるんだ。

それは(安いからといって)全然恥ずかしいことじゃないから。

ただね、ウチには、ずっと昔から家に伝わる掛軸を仕立て直しに来る人がいっぱいいる。

そういうものにはご先祖様の魂が宿っているから。

そういう風に、代々伝えていくものを本当に大事にしたい人もたくさんいるんだ。

本当にいいものが欲しかったらウチに頼みなさい。

機械表装が悪いってわけじゃないよ。

ただ、機械表装と本表装はまったく別のものだから。

そこがね、なかなか伝わらないんだよね。」

別の、本表装をしてくれる表具屋の店主(表具師)さんのお話

「ウチもね。

電話とかで『いくらですか?』って聞かれて、値段を言うとびっくりされるんだ。

で、それっきり電話も来ないの(笑)。

でもしょうがないんだわ。

うちらの手間隙はね、なんぼか安くできるよ。

でもね、本当にいい材料使うと、その材料費だけでたいそうなもんなんだわ。

例えばこのシケという裂地。

すごい高いよこれ。

ちょっとほつれてるでしょ。

これがまたいいんだわ。

でもね、これで仕上げたら後から『ほつれてるよ』って言われちゃうことがあるのさ(笑)。

なっかなか良さが伝わらなくてね~。

ウチにもね、『機械表装扱わないか』って営業が良く来てね…この(機械表装のメーカーの)パンフレット見てみな。

ほら、今はこんな工場で作っちゃうんだねぇ。

インターネット見たら機械表装の店いっぱいあるでしょ。

1万とか2万とか…。

いやいや、値段じゃかなわんから仕事減っちゃってねぇ(笑)。」

で、どっちが良いかというお話。

機械表装…「そんなにお金をかけなでいいから気軽に楽しんで欲しい」 

本表装 …「本当にいいものが欲しかったらウチに頼むと良いよ」  

…どっちが、良い悪いじゃないですね。

どっちも正しいですね。

ただ、本表装に関しては

「そこがね、なかなか伝わらないんだよね。」

「なっかなか良さが伝わらなくてね~。」

なかなか本当の良さが伝わらないようです。

でわ、これからなかなか伝わりにくい本表装の良さも伝えつつ、機械表装と本表装について説明していきます。

…が、私渡辺は、この仕事を始めるまで全く表装について知りませんでした。

幸いにも今、表具表装店、書道店の店主様や表具師様とお付き合いをさせていただいて、少しずつ表装についての知識を蓄えているところです(無知のくせに興味津々なので、皆さん子供に教えるように親切に教えてくれます。お忙しい中いつもご迷惑をおかけしています)。

ですから、あいまいな知識で誤ったことを伝えないように、なるべく聞いた話を正確に受け売りするようにいたします。

あと、個人的には機械表装と本表装のどっちがいいと思っているかですが。

正直なところ悩んでしまいます。

実際にはサンプルを兼ねてどっちも持っているんですが、もし自分がお客さんだったらどっちを買っていたかなぁ???…悩んでしまいます。

私自身があいまいな状態なので、これからの記載もあいまいになってしまう部分もあるかと思います。

すいませんがご了承下さい。

では、比べていきます。

【見た目】

どっちが機械表装で、どっちが本表装かわかるでしょうか?

上が本表装ですが、実物を見てもほとんど違いはありません。

アップにしてみると。

本表装

機械表装

…すいません。

アップにしても写真じゃ良くわからないですね。

実物の折り目などを良~く見ると、本表装のほうに若干ですが手造り感があります。

見た目には、機械表装と本表装にほとんど差はありません。

むしろ機械表装のほうが、綺麗に見えるかもしれません。

表装に付いて予備知識の無い方に、機械表装と本表装を見せると、多くの方が「機械表装のほうが綺麗」と答えるデータがあるようです。

でも、私の素人目から見た感想ですが、本表装には機械表装には無いぬくもりがあるように思います。

ましてや私は、私の巻物を作ってくれた表具師さんと直接お会いして、その真摯な姿勢に触れ、表装にかかる手間隙や技術を見せていただいているから余計にそう思えるのかもしれませんが。

表装に精通した人なら私より上手く説明できるのでしょうが…、

少しでもわかりやすくお伝えできるように例を挙げてみます。

例えば、文字筆で書いた字と、

パソコンの正楷書体です。

例えば、手袋

家の母ちゃんが、(私の)姉の子供のマー君のために編んだ手袋と、

市販のメーカー品です。

例えば、プラモデル。

私が3日かけて作ったズゴックと、

完成品で売ってるゴックです。

感覚的なものなので、言葉では伝えにくいです。

・下手な字でも手書きの手紙の方が想いが伝わることもあります。

・綺麗なホテルより飾らない民宿のほうが安らげることもあります。

・血統書つきの猫より、雑種でかぎ尻尾のうちの猫の方が可愛いです。

上手く言葉にできないのですが、要するに、そんな違いを感じます。

※重さ、手触りは?

これも、文章ではお伝えしにくいのですがだいぶ違います。

本表装の方がより柔らかで軽いです。

表装は、見た目の美しさももちろん大事ですが、長期にわたって保存することも重要な役割です。

柔らかで軽い方が、痛みにくく長期保存に適します。

詳しくは後述しますが、本表装が「作品の紙の厚さに応じて裏打ちの紙の厚さを選ぶ」「巻物か掛軸かによってふさわしい裂地を選ぶ」など、作品一つ一つに対して元来の目的に則した作成方法をとっているのに対し、機械表装は一律に作成されてしまいがちだということで違いが出ているのだと思います。

【裂地の材質について】

※裂地についての簡単予備知識

・掛軸より巻物の方が柔らかい裂地を使うべき(巻いたり開いたりで痛みやすいから。手触りも良い)。

・裂地の代表的な素材に絹と綿がある。絹の方が高価。絹の方がやわらかでより表装に向く

・裂地には縦糸と横糸がある。

縦糸横糸共に絹または綿、縦糸横糸それぞれが絹または綿などの裂地がある。

基本的により柔らかめの裂地を使うといいようです。

特に巻物にする場合は、柔らかな裂地でないと、巻いたときに痛みやすいです。

固めの裂地だと、何度も開いたり巻いたりしているうちに負担がかかって少しずつはがれてきてしまう場合があります。

【全体的な品質について】

本表装の場合本表装の場合は、もとより表具師さんが全てを考慮した材質を選んでいるので仕上がりの品質については一切心配ありません。

信頼できる表具師さんであれば、安く請け負うために、ふさわしくない材質を選ぶことはありませんし、表装の手間隙を減らすこともしません。

掛軸なのか巻物なのかはもちろん、本紙の微妙な厚さに応じて最適な表装方法(裏打ちの材質の調整など)で表装してくれます。

自分が満足するものでなければ、お客様に絶対にお渡ししません。

職人魂です。

※こだわり裏打ちの紙の話

本表装のこだわりについて。

例を一つ。

本紙の裏に、補強やシワを伸ばす為に、薄い紙や布を貼ることを裏打ちといいます。

この裏打ちの紙、仕入れてから1年間は使用しないで保存します。

なぜでしょう?

紙を仕入れた地域とは気候が違います。

手漉きの紙は生き物です。

ほんの少しの水分量の違いで張りが変わってきます。

気候に馴染むまでは使わないそうです。

機械表装の場合

まず作成方法、作成工程についてですが、機械表装の場合は、掛軸・巻物・本紙の質、問わずに一律に表装されてしまうことが多いです。

《例》本来は巻物か掛軸かによって裂地を替えるべき

本来は巻物にするか掛軸にするかによって裂地の質…特に柔らかさを考慮しなければなりません。

機械表装では、巻物も掛軸も同じ裂地で表装されることが多いです。

例えばある機械表装のメーカーのあるランクの裂地があります。

やや厚めで、裂地としては固めです。

もともと掛軸用の裂地なのでこれで掛軸を表装しても特に問題ありません。

しかし、同じ裂地で巻物を表装するにはふさわしくなく、残念ながら何度も開いているうちに表装がはがれてきてしまう長期保存に向かない巻物ができてしまう場合があります。

本来は、別の基準によって選ぶべき巻物と掛軸の表装方法についても、区別することなく一律にされてしまうことが多いです。

《例》本来は巻物か掛軸かによって軸先が違う

左が本表装の軸先、右が機械表装の軸先です。

本表装の軸先の方が細いです。

本表装の軸先は軸よりも細いです。

機械表装の軸先は軸と同じ太さです。

掛軸の場合は、軸と軸先が同じでか 本表装 機械表装まわないのですが、本表装の細い軸先が正当な巻物の軸先です。

機械表装の場合は、巻物・掛軸問わず同じ作成方法、工程で作成されているため、同じ軸先になっているようです。

巻物と掛軸ですが、掛軸の流通が圧倒的に多いです。

機械表装を扱う表装店の品揃えを見るとそのほとんどが掛軸です。

確かに巻物の用途はさほど多くないのでやむをえないのですが、掛軸を想定した材質や作成方法をそのまま利用して巻物が作られることが多いという事情があるようです。

【価格も含めて品質を検証】

表装の価格については「業者に頼むといくら位かかるの?」でも触れましたが、品質も含めてちょっと具体的にお話します。

本表装の価格について最低でも5万円以上がある程度の基準で、後は材質によって天井知らずです。

例えば、ウチには数種類の本表装見本があります。

「普通品」と呼ばれる裂地を使ったもの

「高級品」と呼ばれる裂地を使ったもの両者とも品質上の差異は全くありません。

作成方法や工程にも一切差異はありません。

違うのは「高級品」には、より紋様が映える裂地と、金襴が入った裂地を使っていること…すなわち裂地の材質の原価が違うだけです。

より紋様の映える裂地を使うかどうか、裂地に金襴を入れるかどうかは、品質の問題ではなく、こだわりとか見た目の好みの問題です。

軸先は両者とも同じ、黒檀という木製の軸先を使っています。

例えば、これをより高価な水晶や象牙にすればその分価格が上がります。

裂地にもまだまだ高価なものがあります。

本表装の価格の上限は天井知らずです。

要するに表具師さんが、お客様に自信を持ってお出しできる材質の中で、どれを選ぶかによって価格が上下するだけです。

機械表装の価格について

機械表装は安ければ1万円台からあります。

裂地にもいろいろな種類が用意され、各機械表装のメーカ独自に裂地に名前をつけている場合もあります。

例えば絹の裂地と一口に言っても、天然素材だったり、化学繊維が合成されていたり様々です。

私も全ての機械表装メーカーの品質を把握しているわけではないので、明確に断言できないのですが、大まかにお伝えします。

あまり安すぎるものは避けたほうが良いかもしれません。

多少ですがいろいろな価格の機械表装をみた感覚から最低でも3万~5万円以上、できれば5~10万円くらいのものを選んだ方が、後々の保存まで考えると無難でいいように思います。

機械表装の相場からすると平均的な価格よりやや高めなのですが、お付き合いのある書道店の店長さんが、「家系図みたいに大事なものを表装するならこのくらいのランクからが良いよ」と、勧めてくれるのが5~10万円前後の表装です。

裂地も柔らかなものが選ばれていて、長期保存に向く丈夫な仕上がりになります。

なんか、品質とか材質と価格とかふさわしくないものができるとか…ちょっと重たい話になってしまいましたね。

本来、表装の話はワクワクする楽しい話です。

楽しい話をしましょうか。

■裂地の色・柄の選び方

色も柄も基本的には好みで選んでしまっていいと思います。

イメージしやすいように写真をいっぱい使いますね…と、いいながら冊子を作る予算の都合で白黒ですいませんー(><)。

想像力で補ってくださいm(__)m

グリーン系

本表装の表具師さんのお勧めです。

確かにパッと見一番良いように思いました。

グリーン形の中でもやや濃い目を選んだ方が本紙(家系図を描いた白い紙)が引き立ちます。

ホワイト・グレー系

上品で結構良いです。

グリーンに比べるとやや全体的な色合いのメリハリが弱いようにも思います。

オレンジ・レッド系

綺麗です。

女性の方なら結構気に入るのではないでしょうか?

この系統の色合いの表装は少ないですが個性的で個人的には素敵だなと思います。

思い切って変わった色にしたいと思ったら、明るめのオレンジ・レッド系を選んではどうでしょうか。

ブラウン系

重厚な雰囲気が出ますが、やや重たく感じてしまいます。

表具師さんよりお経の巻物みたくなってしまうので避けたほうが無難とのアドバイスをいただいております。

が、渋くてカッコいいです。

ブルー系

これも結構綺麗でいいですね。

本紙が引き立ちます。

【軸先の材質の選び方】

軸先に使う材質には、木目のもの(紫檀・黒檀など)、陶器製のもの、木製の軸に色を塗ったもの、水晶・象牙などなどいろいろあります。

基本的には、好みで選んでもいいものです。

一般的なのは価格の面からも妥当な、木製か陶器製の軸先です。

「どうしても軸先はこれ」てっいう指定が無ければ裂地の色や掛軸か巻物かに合わせて表具師さんが最適なものを選んでくれます。

※表具師さんからのアドバイス

・掛軸には軽い木製よりも重みのある陶器製を選んだ方がいい。

下に来る軸先に重みがあると、掛けたときにしっくり来ます。

・巻物には重みのある陶器製よりも軽い木製を選んだ方がいい。

巻物は手にとって開いてみるので軽い方が良いし、また痛みにくいです。

・裂地の色にもよるが木製の軸先を選ぶなら、木目の軸先の中でも黒系、濃い色の紫檀か黒檀が最も作品が引き締まる。

いろいろサンプルを作ってみたのですが、

巻物には木目の軸先。

裂地の色に合わせて黒檀か紫檀。

黒檀

紫檀

掛軸には陶器製の軸先で、裂地の色に合わせて表具師さんに陶器の色を選んでもらうのが良いようです。

小話 ~虎の絵の掛軸に象牙の軸先は×~

表具師さんから聞いたちょっとした薀蓄です。

象牙の軸先は、家系図にはふさわしくない。

なぜでしょう例えば虎の絵の掛軸。

こちらにも、象牙の軸先は好ましくありません。

虎は生き物、象も生き物、一つの作品の中で2つの動物がぶつかり合うからだそうです。

ですから、人と人の繋がりを描いた家系図にも象牙の軸先は好ましくないようです。

【桐箱について】

和桐と米桐(べいぎり)。

すなわち日本の桐で作った桐箱とアメリカの桐で作った桐箱です。

こだわりぬけば和桐の桐箱を使うべきなのでしょうが、実質両者にほとんど見た目・品質上の差異は無いそうです。

「どうしても和桐がいい」という場合以外は米桐のものでいいと思います

■本表装と機械表装、一番の違いは仕立て直し

実は、本表装と機械表装で一番違うのが、仕立て直しができるかどうか?というところです。

仕立て直しとは、すなわち、いつの日か、自分の子孫…お子様・お孫様・ひ孫様・玄孫様の代になって、家系図を書き足していく場合。

本紙に新たな紙を継ぎ足していくわけですが、

本表装 …仕立て直し可。

水に溶ける糊を使った昔ながらの作成方法なので、本紙を剥がして仕立て直すことができます。

機械表装…仕立て直しほぼ不可。

糊を使わず熱プレスを使って科学的に作成しているので、剥がして仕立て直すことはできません。

仕立て直しを考慮して裏打ちのみ糊を使うなどの工夫をなされている場合もありますが、実際には裏打ちのみに糊を使っても何十年後に本当にきれいに剥がして仕立て直しができるかは疑問だそうです。

半永久的に代々伝えていく…本表装

「代々伝わってきたものには魂が宿る」、本表装の表具師さんはそう仰います。

ご自分の代で作った家系図を、代々伝えていきたい場合。

代々子孫が家系図に、名前を書き加えていけるようにしたい場合は、本表装で仕立てるといいです。

※特に巻物は、本来保存が用途なので、いくらでも紙を継ぎ足していけます。

※掛軸は保存より、作品を装飾し飾ることが用途です。

紙を継ぎ足していくといつの日か長すぎて飾れなくなってしまいます。

子供と孫くらいまで何十年か楽しめればいい…機械表装

でも、実際のところは「私と子供と孫くらいまで何十年か楽しめれば良いさ。100年先の下の代は下の代でなんとかするさ。」ってお客様も多いです。

機械表装の場合も、長く書き足していけるように、なるべく左側にスペースを空けるようにしております。

ちなみに、ウチにご依頼いただいた場合は、家系図の左側に「平成○○年○月○日 本書作成 行政書士 渡辺宗貴」と書いて職印を押すこともできるのですが、あまりお勧めしてません。

赤の職印は映えるし、ここに文字が入ると見栄えは結構良いのですが、私の名前なんか書くより、お子様・お孫様・ひ孫様のためにスペースを空けておいた方がいいと思っています。

また、お子様お孫様がいる場合には、将来の配偶者様を書き足すスペースを空けておくこともできます。

ですが、実際は未来の家系はどのようになるかわかりません。

縁起でもない話で申し訳ありませんが、将来の配偶者様のスペースを用意しても、離婚・再婚などあって、スペースが足りなくなることもありえます。

いつか、全面的に書き直さざるを得なくなることもあります。

あまりこだわらずに「何十年か楽しめればいいんだ」という場合は機械表装、「いやいや、今回作った家系図を何代先までも受け継いでいくのだ」という場合は本表装をお選びになるといいと思います。

こうして、本表装と機械表装を比べていくと、どうしても元来の表装の目的・作成方法を守っている本表装の良い点が強調されてしまいます。

「そんなにお金をかけなくても良いから、気軽に楽しんで欲しい」、機械表装を扱う表装店の店長さんは仰います。

機械表装はなかなか気軽に楽しめなかった表装を少しでも身近なものにするように生み出されたものです。

最近「美味しんぼ」という料理の漫画をよく読みます。

「厳選された素材を最高の料理方法で」と、いう美食倶楽部がでてきます。

「味は変わらないけど、形の悪い野菜や、市場では売れないマグロの骨の周りの身を安価で仕入れて庶民的な価格で提供するんだ」と、いう大衆居酒屋がでてきます。

…どっちが、良い悪いじゃないですね。

どっちも正しいですね。

結論です。

表装は楽しいです。

私自身サンプルを兼ね自分の家系図を表装するのですが、毎回毎回仕上がるのが楽しみです(本表装で2カ月前後、機械表装で2~3週間かかります)。

「出来ましたよ」って連絡があれば、すぐ飛んでいきます。

毎回母さんや妻や子供に見せます。

お客様にお渡しするときも本当に楽しみにしてくださってたのがわかります。

気が向いたときに巻物を開いたり掛軸を掛けて眺めるのも楽しいです。

ワクワクします。

基本的には、自分が楽しむために気軽に選んでいいと思います。

ですが、本表装も機械表装も決して安価ではありませんし、ましてや家系図となると一生の宝でもあります。

お客様にお渡しするときも本当に慎重に大事に扱ってくださるのがわかります。

気軽に選んでくださいというのも安易過ぎるように思います。

…すいません。

最後まであいまいでした。

実際には「そんなにこだわらないよ~」ってお客様が多いので、機械表装をお勧めすることの方がやや多いです。