この記事は「1000年たどる家系図の物語」シリーズです。 家系図の作り方や先祖調査について解説しています。
家系図はどこまで遡れるのでしょうか。行政書士として5000家系以上を調査してきた経験から、戸籍調査や先祖調査の基本を解説します。家系図作成の入口となるシリーズ第1回。
– 1000年たどる家系図の物語① –
「“知らない”から始まる家系図の旅」
はじめまして。
家系図作成代行センター株式会社 代表・行政書士の渡辺宗貴です。

私は20年間、「家系図」だけを作る仕事をしてきました。
行政書士の業務には、許認可、会社設立、相続、車庫証明などさまざまあります。
ですが私は、それらを一切していません。

自分の会社の設立手続きも、自宅の車の車庫証明も、すべて友人の行政書士に頼みました。

その代わり、これまでに調べた家系は5000家系以上です。
おそらく、日本で一番多く家系図を作っていると思います。
書籍やテレビ・ラジオを通じて、家系図文化の普及にも取り組んでいます。
この記事はテレビで紹介されました
2025年12月、北海道文化放送(UHB)の夕方ニュースで 当社の取り組みを特集していただきました。
家系図を通して「家族の物語」を残す仕事を、 多くの方に知っていただく機会となりました。
テレビでは講演内容の一部のみの紹介でしたが、 ここでは講演の内容を詳しくご紹介します。
– “知らない”から始まる家系図 –
まずは講演動画をご覧ください。 家系図はどこまで遡れるのか、 家系図調査の入口についてお話ししています。
今は家系図を作る仕事をしていますが、はじめる前は、自分の家のことをほとんど知りませんでした。
せいぜい祖父母まで。二代前くらいです。
祖父の名前さえ、あやふやでした。
私は北海道釧路市で生まれ、旭川を経て、現在は札幌に住んでいます。
けれども、祖父はどこに住んでいたのか。
先祖はどこから来たのか。
何をしていたのか。
そんなことを聞くという発想すらありませんでした。
きっかけがないと、家系図の話ってしないんですよね。
家紋も知らない。
なぜ自分が「渡辺」なのかも知らない。
“知らない”ということが、当たり前だったんです。
– 自分の戸籍をたどってみた –
行政書士になってから、たまたま「家系図を作る仕事」があると知りました。
試しに、自分の戸籍を取り寄せてみました。
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すると――
父方は5代前、母方は6代前。
江戸時代の末期までさかのぼることができたんです。

家系とか先祖供養とか、それまで全く関心はありませんでした。
ですが、初めて見る先祖の名前。
初めて知る先祖の住んだ土地。
「自分はこの人たちの続きなんだ」
そう感じた瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなりました。
それが、私の家系図屋としての原点です。
– 家系図は「今しか作れない」 –
あれから20年。
今日お伝えしたい一番大切なことは、これです。
家系図は、「今しか作れない」。
家系図というと、“過去をたどるもの”というイメージがあります。
ですが実は、そうではありません。
家系図は、未来へつなぐものなんです。
今日はそのことを、3つの視点からお話しします。
① 150~200年たどる「戸籍調査」について
我々誰もができる、自分から先祖への戸籍をたどる調査です。
② 400~1000年たどる「戸籍以上の調査」について
古文書や菩提寺、墓石、口伝の調査です。
③ 未来へ託す、家系図
なぜ作るのか。作ってどうするのか。そこを考えていきます。
家系図は、「今」だからこそ作れるものです。
そして「今」作れば、100年後、1000年後の家族へとつながっていきます。
家系図は、あってもなくても生きていけます。
でも、「自分のルーツを知る」という体験は、人生を少しだけ豊かにしてくれるかもしれません。
今日はそのことを、一緒に考えてみましょう。
– 家系図をたどる旅① –
戸籍調査と苗字・家紋
家系図を調べるとき、とにかく最初は「戸籍」から始まります。
この戸籍をたどっていくと、江戸時代の末期、およそ150年から200年前までさかのぼることができます。
たとえば父方の系統をたどると、こうです。
荘兵衛(5代前)
↑
荘兵衛(4代前)
↑
荘太(ひいじいちゃん)
↑
荘三郎(祖父)
↑
荘一(父)
ずっと「荘」が続いています。
しかも「荘兵衛」という同じ名前が代々繰り返されているんです。
当時は「通し字」といって、家ごとに一文字を受け継いだり、あるいは「襲名」といって、親の名をそのまま引き継ぐこともありました。
そんなことも、後で調べて初めて知りました。
– 江戸時代の居住地をたどる –
戸籍をたどると、最後に「江戸時代の居住地」が出てきます。
ここからが、家系調査の第二ステップです。
江戸時代には「居住制限」という仕組みがあり、多くの家は代々その地に住み続けていました。
ですから、戸籍に記された住所、つまり本籍地は、400年前の江戸時代からその家が暮らしてきた土地である可能性が高いのです。
だからこそ、その地を調べます。
当時の村や町を「地名辞典」や「市町村史」で調べると、その土地がどんな場所だったのかが見えてきます。
武士が住んだ城下町だったのか。
農村だったのか。
漁村だったのか。
いつ頃から人が住み始めたのか。
農村がいつ町場へと発展していったのか。
たとえば私の父方は、江戸時代、茂辺地村に住んでいました。
地名辞典を見ると、「家数90」「漁家が多い」などと書いてあります。
「ああ、たぶんうちもその漁家の一つだったのかな」と想像が広がります。

また、安政年間の記録には、三平汁の元祖という話も出てきます。
「ああ、先祖も三平汁を食べていたのかな」と思うと、少しうれしくなります。
ちなみに三平汁は、北海道の郷土料理です。
直接、先祖の名前が出てくるような記録ではありません。
けれども、土地の歴史をたどることで、家の成り立ちが見えてくるんです。
また、電話帳で同じ苗字の分布を調べると、思いがけない発見があります。
たとえば私の母方の葛西姓は、青森県に多く見られます。
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– 苗字をたどると歴史が見える –
ここで少し、「苗字」の話をしてみましょう。
苗字辞典を開くと、「もとは武士の家系で、滅びて帰農した」などの記録が見つかることがあります。
すると、現代の一つの苗字から、千年前までの血の流れが見えてくることもあるんです。
次に、たとえば「菊池」姓。
東北に多い苗字ですが、その発祥は肥後国(熊本県)の豪族・菊池氏です。
南北朝時代、約700年前ですね。
菊池氏は一族をあげて南朝に忠勤を尽くし、東北の南朝勢力を支援するため一門を派遣しました。
そのため、東北地方の「菊池さん」は、熊本県とつながっていることが多いんです。

つまり、遠く離れた地に同じ苗字があるとき、その背景には「歴史的な移動」や「戦いの記憶」が潜んでいることがあります。
苗字をたどることは、まさに日本の歴史をたどることでもあるんです。
そして、苗字の8割は地名から発祥したといわれています。
たとえば「中山」という苗字。
地名発祥です。
中山という地名も、日本にはたくさんあります。
その苗字の根本には「氏(うじ)」があります。
源・平・藤・橘――いわゆる「源平藤橘」です。
人口が増え、氏族が各地に分かれていく中で、たとえば源氏の子孫が「中山」という地に住んで中山を名乗り、また別の土地では藤原氏の子孫が中山を名乗る。
こうして「同じ苗字でもルーツが違う」という現象が生まれました。
では、自分の家の「中山」は、どの系統なのか。
それを見分ける一つの手がかりが、家紋です。
桓武平氏を祖とする中山氏は蝶や片喰、笹紋。
丹治氏を祖とする中山氏は月や丹の字を使うことが多いです。
また、富山県にも名族の中山氏があり、家紋は牡丹です。

家紋は2万種類ほどあるともいわれます。
ここまで分かれば、次に富山県の中山姓についてもっと調べることもできてきます。
富山県における中山姓の初見を探る、という調査にもつながっていきます。
必ずしもそこにつながるとは、現時点では言えません。
けれども、家紋には苗字の背後にある氏族の物語が隠れているんです。
– 苗字は土地の記憶、家紋は家の出自 –
苗字は「土地の記憶」。
そして、家紋は「家の出自」です。
この二つを合わせて見ると、家系図は単なる家族の系譜ではなく、一つの文化史として立ち上がってきます。
– 苗字は1000年前につながるのか –
では、その苗字は本当に1000年前の苗字とつながっているのでしょうか。
私たちが今持つ苗字は、明治の初めに全国民が名乗るようになってから、まだ150年ほどしか経っていません。
ですが、現在の苗字の大半は、実は800年から1000年前にはすでに出そろっていたといわれています。
ここで重要なのが、日本の人口の変化です。
歴史人口学の研究によると、およそ1000年前の平安時代、日本の人口はたった300万人ほどでした。
今の北海道の人口よりも少なかったんです。
それが江戸時代には約3000万人。
そして現在は1億2000万人を超えています。
つまり、かつての300万人が、今の1億2000万人につながっているということなんです。

また、「江戸時代には庶民に苗字がなかった」とよく言われますが、最近の研究では、それは「公に名乗れなかっただけ」だと分かってきました。
藩が管理する公的な記録には苗字が書かれていませんが、神社の名寄帳や手紙などの私的な記録を見ると、ほぼすべての村人が苗字を使っていたという例が多く見つかっています。
つまり私たちは、1000年前のたった300万人の先祖の「続き」を生きている。
そう考えると、苗字ひとつにもものすごい歴史がつまっていると思いませんか。
– まとめ –
まとめると、戸籍は「家の記録」です。
苗字と家紋は「日本人の記録」です。
この二つを読み解いていくことで、家系図は「ただの系譜」ではなく、「家族の物語」へと変わっていきます。
そして、その「物語」を未来へつなぐのが、家系図をつくるという行為なんです。
けれども、その物語をたどるための「鍵」である戸籍。
実は、この戸籍そのものが、今、大きな転換期を迎えています。
ここからは、「なぜ家系図は今しか作れないのか」――その理由をお話しします。
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・家系図はどこまで遡れるのか
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