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第2章 150~200年たどる「戸籍調査」?

戸籍とは?除籍簿とは?戸籍には分け方によっていろいろな種類があります

「謄本(とうほん)」と「抄本(しょうほん)」、「現行の戸籍」「除籍簿」「改正原戸籍(かいせいはらこせき)」…などなど。

戸籍の種類についての詳細は割愛して、大まかにお話します。

戸籍(正確には戸籍謄本)には世帯主をはじめ、その家族…すなわち奥様やお子様が載っています。

戸籍に書かれている人物が転籍したり、結婚するか亡くなるかなどして全ての人物が抜けてしまった戸籍を除籍簿と呼びます。

■戸籍に記載されている人物は?

もう一度別の角度から戸籍の種類の話に戻りますが。

【現行の戸籍には親子二代まで記載】

現行の戸籍(現在の戸籍です)には、前述の通り世帯主をはじめ、その家族…すなわち奥様やお子様が載っています。

要するに家族単位です。

※三代戸籍禁止の原則といって親子二代までしか記載されていません。

【古い戸籍には家単位で、数世代が記載されていることもある】

古い戸籍(正確には昭和30年に戸籍法が改正される前に使われていた改正原戸籍)には、家族だけでなく祖父や孫、さらには兄弟の奥様やお子様までが記載されています。

要するに当時の家制度をふまえた家単位です。

ですから、古い戸籍を取得できると、一気に数世代が判明することもあります。

※戦災等での消滅東京や広島、沖縄などでは戦災のため戸籍が焼けてしまっている場合があります。

北海道でも稀にあります。

例えば函館…1907(明治40)年大火事により一部地域で戸籍が焼失しています。

樺太…第2次世界大戦があった関係で、ほんの一部の戸籍しか旧樺太から持ち帰ることが出来なかったそうです。

戦災があった地域でも戸籍が再生されていることも多いので、あきらめずに請求して確認してみましょう。

小話 ~樺太の戸籍が取れなかった話~

この仕事を始めて3件目のご依頼でした。

15年近く前の事です。

私自身まだまだこの業務への経験不足と不慣れな対応で、お客様にご迷惑をおかけしてばっかりだった頃です(今もですが…)。

40代前半の方からのご依頼でしたので、5代程度はさかのぼれるかなと思っていたのですが…調査開始直後は順調に進み、ご先祖様の足取りと保管期限の兼ね合いを計算しても5代以上はいけそうでしたので、ご依頼人様にも「多分5代以上いけそうですよ~」と気軽に経過報告をしていました。

ご依頼人様も「僕は曾おじいちゃんの名前くらいしかしらないからねぇ。5代もいけるなんて楽しみだよ。」と非常に楽しみにしてくれていました。

ですが、本籍が樺太にある戸籍を請求したところで調査は中断。

結局3代前までしかさかのぼれませんでした。

樺太への請求?「本籍地樺太」という記載の戸籍を見て、樺太への請求?どうやってするの??樺太に役所なんてあるのかな???よくわからなくて、まずは根室の役所に問い合わせてみました。

するとそこには保管されておらず、東京にある「外務省のアジア局」というところにあると教えてもらいました。

外務省アジア局の連絡先を教えてもらい電話すると、「樺太の戸籍でもほんの一部しか保存されていない」とのことでした。

残念ながら私のご依頼人様のご先祖様の戸籍は保管されていませんでした。

初めて身近に感じた戦争の爪痕アジア局の方は、電話口で残念がる私にいろいろ教えてくれました。

「第二次世界大戦が終わったときもう日本はボロボロだったんだ。樺太にいた方たちもやっとの思いで引き上げてきて、とても戸籍を全て持ってくる余裕が無かったらしくて…残念だけどしょうがないんだよ。本当に申し訳ない…。持って来れなかった戸籍は今もあるはずだよ。旧ソ連のどこかに。でもね、ポツダム宣言って聞いたことあるでしょ?終戦時にお互いの請求権を放棄したからね、もう日本はその戸籍を請求することはできないんだよ。今もね、年に何回かだけど樺太にお住まいだったご先祖様を調べたいと戸籍の請求があるんだけど、ほんの一部の戸籍しかないからね、出したくても出してあげられないんだ。本当に申し訳ない…」アジア局の方は何度も何度も私に「申し訳ない」と謝ってくださいました。

ポツダム宣言とか請求権の放棄とか北方領土問題とか、学校で習ったことはある言葉なのですが…その後の話ご依頼人様にアジア局の方から聞いた話をそのまま伝え、軽率に5代くらいはいけそうだとご報告したことをお詫びしました。

家系調査を終えたら筆耕・表装へ進む予定だったのですが、調査が中断したため判明した人数が少なかったので、ご依頼人様に「筆耕・表装はどうされますか?おやめになりますか?」と伺ったところ「…うん。このまま(筆耕・表装も)お願いするよ。(あまり戸籍が取れなかったのは)残念だけど、あなたが一生懸命調べてくれたんだし。そういう事情で取れなかったんならしょうがないから。戦争とかね…そういう事情でウチの先祖がさかのぼれなかったことも含めてね、子供や孫に残してやればいい話だから」ほんの僅かながら戦争の爪痕に触れ、お客様の優しさに触れ、なんだかよくわからないけどとにかくこの業務を選んでよかった、もっと頑張って専門家になろう、と思える出来事でした。

■戸籍の取れる範囲

さて。

戸籍による家系調査をするにあたって、どういう戸籍が取れてどういう戸籍が取れないのか。

取得できる戸籍の範囲についてのお話です。

取得できる戸籍の範囲といっても大まかに2つの意味合いがあります。

・一つはどこまで古い戸籍が取れるのか?ということ。

・もう一つは自分の親族の中でどういう人の戸籍が取れるのか?ということです。

…ちょっとわかりにくい文になりました。

とりあえず話を進めますね。

【どこまで古い戸籍が取れるの?】

どこまで古い戸籍が取れるのか?っていうのは、さらに二つの意味合いに分かれます。

・一つは、前述した除籍簿の保管期限が切れると取れなくなるということです。

・もう一つは、戸籍の種類に関することです。

※戸籍の種類・戸籍謄本 …現在使われている戸籍です。

・除籍謄本 …転籍したり、結婚して新たな戸籍を作ったり死亡するなどして全ての人物が抜けてしまった戸籍です。

この状態になって80年(150年に延長)で処分されてしまいます。

・改正原戸籍…昭和30年の戸籍法の改正まで使われていた戸籍です。

現在の戸籍のように家族(奥様、お子様)だけでなく祖父や兄弟の配偶者やそのお子様お孫様まで記載されています。(家制度を反映)

・壬申戸籍 …明治5年に作成された日本最古の戸籍です。現在では取得、閲覧できません。

その他に戸籍にも除籍にも謄本のほかに戸籍抄本、除籍抄本があったりしますが、専門的な話になりすぎないよう深入りを避けます。

要するに「戸籍による家系調査」をするにあたって「どこまで古い戸籍が取れるのか?」ということに関しては、

・除籍簿の保管期限が切れる前。

・戸籍の種類でいえば戸籍謄本と除籍謄本と改正原戸籍が取れる。

ということのみ大まかに知っていただければ十分です。

では次に、親族の中でどういう人の戸籍が取れるのか?という件です。

【親族の中でどういう人の戸籍が取れるの?】

<戸籍法(抜粋)> 第12条の2 除かれた戸籍に記載されている者又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その除かれた戸籍の謄本若しくは抄本又は除かれた戸籍に記載した事項に関する証明書の交付の請求をすることができる。

国又は地方公共団体の職員、弁護士その他法務省令で定める者も、同様である。

戸籍による家系調査を進めるには現行の戸籍はもちろん、古い戸籍…除籍簿を取得していかなければなりません。

上記条文は除籍簿の取得請求をできる人物について書いてあります。

戸籍法要約

要するに、「除籍簿の取得を出来るのは、その除籍簿に記載されている人か、その配偶者(奥さんまたは旦那さん)か、直系の卑属か、直系の尊属である」

戸籍法さらに要約

さらに要すると、家系調査を始めようとする方からみると・自分・お父さん(お母さん)・お祖父さん(お祖母さん)・曾お祖父さん(曾お祖母さん)…の除籍簿は取れますよ。

また、・お子様、お孫様の除籍簿も取れますよ。

と、いうことであり。

逆にいうと、それ以外の人物(すなわち傍系)・お父さんのご兄弟や、その配偶者やお子様・お祖父さんのご兄弟や、その配偶者やお子様の除籍簿は取れませんよ。

さらに、・自分のご兄弟や、その配偶者やお子様の除籍簿は取れませんよ。

と、いうことです。

じゃあ、除籍簿の取れない傍系の方々は判明しないの?

では、「お父さんのご兄弟やその配偶者やお子様・お祖父さんのご兄弟やその配偶者やお子様…の除籍簿は取れませんよ」ということは、その方々は全く判明しないのか?、というとそういうわけではありません。

例えば・ご自分の兄弟姉妹は、お父様のお子様として、お父様の戸籍に記載されています。

・お父さんのご兄弟は、お祖父さんのお子様として、お祖父さんの戸籍に記載されています。

・お祖父さんのご兄弟は、曾お祖父さんのお子様として、曾お祖父さんの戸籍に記載されています。

・お父さんやお祖父さんのご兄弟の配偶者やお子様は、昭和30年の戸籍法の改正まで使われていた家制度を反映した戸籍には記載されている場合があります。

■どんな家系図が出来るの?

では、「戸籍による家系調査」から、どんな家系図が出来るのかということです。

ご先祖様の足取り、また、どれだけ古い戸籍が取得できるかなど、運によるところも大きく、戸籍を取ってみるまで全くわかりません。

一概には言えないのですが、今までの経験から推測できることをお伝えいたします。

【何代前までさかのぼれるの?】

家系調査の一番の醍醐味は、やっぱりどれだけさかのぼれるか、だと思います。

判明する世代数

まずは、上の代のご先祖様、下の代のお子様・お孫様、全て含めて判明するのは、5~9世代(平均6~7世代)です。

さかのぼれる世代数次に上の代にさかのぼれる世代数ですが、3~7世代(平均4~5世代)です。

さかのぼれる世代数は、家系図の起点なる人物(家系図を作る人)の年齢から、ある程度は予想できます。

ちょっと表にしてみます。

起点となる方の年齢 3代 4代 5代以上 10~30代 5% 35% 60% 40代 15% 40% 45% 50代 20% 45% 35% 60代 35% 35% 30% 70代以上 50% 30% 20%

大まかにこんな感じです。

今までお受けした家系調査のご依頼や、筆耕・表装のために既に作成した家系図を見せていただいた経験からの数値ですので、かなり正確です。

ただし、さかのぼる年代に関しては、運によるところも大きいので、本当に取ってみないとわからないものです。

運によるところというのは、例えばご先祖様の生きた年数など、ご先祖様の足取りによるもの。

「もう1年ご先祖様が長生きして除籍簿になるのがおそければ保管期限が切れずに取得できたかもしれない」「分家するのがもうちょっと遅ければ、分家前の戸籍が取得できたかもしれない」などがあり得ます。

いずれにせよとにかく一日も早く古い戸籍を取っておくことです。

※さかのぼれる年代は?

さかのぼれる世代数は3~7世代ですが、年代で言うと、約150~200年前です。

一番古いご先祖様で、江戸時代末期~明治の初めに生きた方までが判明します。

【どれだけさかのぼれるかが一番の醍醐味ではあるけれども…】

それはやっぱり、なるべくたくさんさかのぼれるに越したことはありませんが、実際にお客様とやり取りをしていると「それだけじゃないんだな~」と気づかされます。

調査結果をお渡しした後、お客様はいろいろご連絡をくださいます。

「父母が大変喜んでいる」 「この軸先はどんな材質?」「兄弟が欲しがってるんで兄弟の分も送ってほしい?」「この字はなんて読むの?」 「隠居ってなに?」「桐箱はどこに保管すればいいの?」 「ほんとにこれ以上取れないの?」 「妻の分の調査を追加でやってほしい」「もうちょっと大きい字でプリントできる?」 「久しぶりにお墓参りに行こうと思うんだ」「巻物の巻き方を教えてほしい」 「孫ができた、書き加えて欲しい」 「近々時間を取って母に会いに行こうと思います」「久々に巻物を開いてみてたら、渡辺さんのこと思い出したんだ。元気かい?仕事いっぱい入ってるかい?」って久々に電話をくれた方もいました。

嬉しかったです。

家系調査の経過報告でやり取りをしているときより、調査終了後のやり取りの方がずっと多いです。

「ご家族と一緒に見てくれてるんだ」「戸籍を隅々まで見ているんだ」「巻物を大事にしてくれてるんだ」っていうのが伝わってきます。

特に、ご両親やご兄弟、ご家族との間で、家系図のこと、ご先祖様のことを話題にしていらっしゃるのが嬉しいです。

多分それが一番の先祖供養なのだと思います。家系図は調査結果よりも作った後にこそ意味を持つように思います。

我ながらなかなか良い仕事を選んだな、と思ってしまいます。